- 開発推進ブロック 主任
- 仕上室 室長 鈴木 和也

- 型の表面処理によって、製品面の平滑さと艶に違いが出ます。基本的には磨き込むほど平滑になり艶も出ますが、磨きすぎると精度を乱す原因に。そのさじ加減は経験で得るしかありません。

- 型へのコーティングは刷毛で塗布。コーティングには多くの種類があり、焼き上げる温度に応じて最適なものを使用します。コーティング後は、さらにサンディングして表面を平滑に整えます。

- 製品の端部分にある繊維の毛羽立ち、機械加工部分のならしはハンドワークによるサンディングで仕上げます。また、お客様の要望による手作業での穴あけやトリミングにも対応できます。

- 被接着物の接合部を覆うフィレットは、接着剤の量が最適でないと確実な強度を確保できません。人の手による作業では、とくに技術と知識、そして経験が必要になります。
ハンドワークの熟達は身体で覚えること
型の表面処理やコーティング、成形品の組み立て・接着、最終処理というのが仕上室の主な仕事ですが、機械では加工できない部分やお客様の要望によっては穴あけやトリミングも担当。また、型をカーボンで作ることもあり、ハンドレイアップの型については仕上室が製作します(オートクレーブの型は成形になるので積層室が製作)。仕上室は積層を除いた、すべてのハンドワークを担当している部署です。
型、成形品共に加工の理想は機械で切削した状態。それが一番精度を高められます。しかし、どうしても機械加工特有の目が残ってしまうため、手作業によるサンディングで処理します。CFRP表面の平滑さや艶は、型の表面処理とコーティングに左右される部分。ムラなく均一にならすには経験が必要です。私も最初の頃は失敗していましたが、それを身体で覚えられた経験があったからこそ、今の自分があると思っています。
組み立てと接着においてポイントとなるのは、接着面の下地作りと接着剤の使い方です。下地も接着剤もカーボンと金属なのか、カーボン同士なのか、被接着物の素材で違いますし、接着剤は2液性を使うことが多く、その配合量、混ぜたときに気泡が入らないようにすることも重要。接着面は見えない部分なので、同時に接着剤を塗ったものをサンプルとして用意し、硬化の具合を確認するようにしています。また、接着はフィレットの量によって接着強度が変化します。少なくても多くても接着強度は落ちてしまう。そのさじ加減が微妙で、そこもやはり経験で培ったノウハウが必要になる部分ですね。
製品は100%、満足度はそれ以上を目指す
型も成形品も、最終的に見て、触れるのは仕上室です。そこで私がこだわりとして持っているのは、自分ができる100%で仕上げること。基本的には機械加工で出来上がったものが高精度な状態にあるので、必要以上のことをやるのはNG。製品の完成度が低いのはもちろんダメですが、自分が思う120%で仕上げてしまうのもいけない。お客様の要望通りに仕上げることが100%ですからね。
具体的な話しをすると、型については次の工程である積層室が作業をしやすいようにすることです。型に角があると真空袋を破いてしまい、十分な圧力をかけられなくなってしまう恐れがあるので角を落とすようにしています。成形品では、お客様に満足していただける仕上げを心がけています。例えば、見えない裏側や縁の部分でも、触ったときにケガをしないように……と。成形品では形状を変えるような補正はできないので、実際にそれらは気づかれないことのほうが多いですが、そこまでやったかやらないかは、自分のなかで違いますからね。言ってしまえば自己満足ですが、時間が許す限り、無駄なくらいに触っています。
今後の目標としては、どこの部署でも同じですが、もっともっと勉強して、多くの知識と技術を身につけること。CFRPの業界自体がまだ発展中にあり、ゴールがない状態です。だから、現状で良いのかどうかを自分たちで判断することはできず、お客様が満足してくれたかどうか、その実績でしか答えを知ることはできません。そのためにも、ウチダならではの“付加価値”によって、「製品としては100%だけど、満足度はそれ以上」と言われるように、今後も努力してきたいと思っています。
