- 開発推進ブロック 主任
- 治工具室 室長 浦島 幸史

- お客様からいただいた設計データを基にCAD/CAMを使ってモデリング。まずはパソコン上での切削シミュレーションもします(当社ですべての設計を組むことも可能です)。

- パソコンで作ったプログラムを再計算、再検討してマシニングセンターへ情報を送ります。当社では極めて高いスペックを備えた5軸、3軸のマシニングセンターを計4台設備しています。

- ハイスペックのマシニングセンターによって、松の葉のような繊細な加工にも対応。なお、こちらは加工コンテスト出品のため機械加工で製作しましたが、成形で作ることも可能です。

- 難しいとされている薄いカーボン材への穴あけ加工も容易です。製品の厚さ、材質の特性に応じて刃当たりの力加減を調整することで、高度な機械加工に対応できます。
経験と連携で精度を高める
治工具室が担当するのは、マシニングセンターを使った機械加工。型作りにはじまり、成形された製品の穴あけ、トリミングというふたつの仕事を受け持っています。
まず型についてですが、もっとも重要なのはCFRPの特性を理解した上で作ること。焼き上げて硬めるCFRPは、熱が入ると若干変形します。その変形を見越したうえで、モデル通りの製品ができてくる型にしなくてはいけない。さらに言えば、積層のしやすさ、成形した後で綺麗に脱型できるか、という内容も盛り込まなければいけません。機械加工にはCADやCAMの知識、精度を高めるためのハイスペックなマシニングセンターが必要ではありますが、“先を読む”ための経験もとても大切な要素なのです。
当社のようないわゆるカーボン屋では、実際にカーボンを扱う積層班が中核となる部署ですが、確実な積層のためには、しっかりした型が必要であると考えながら取り組んでいます。そのためにも、当社で重視しているのが部署間での連携。どういう繊維の配向で、どの樹脂を使うのか。このことは成形後の加工にも重要なことです。とくにUD(ユニディレクション)の場合、加工時の刃の選び方、入れ方に気をつけなくてはいけません。単一方向のUDは竹のように、刃を入れる角度によって簡単に割けたり剥離してしまいます。部署間の連携を高めて情報を共有しておけば、そのようなミスを防げ、結果として精度の高い製品にできる。そこは設計から仕上げまで、一貫してできる当社だからこその強みだと思っています。
機械を自分の手のように操る
私は入社当時、仕上げの部署にいました。そのときに考えていたのは、機械と同じような精度をハンドワークで出すこと。そして治工具室に所属してから考えているのは、ハンドワークのように機械を動かすこと。精度の高さではやはり機械が上。でも、角の部分に丸みをつけたりといった最終的な味付けは、直接触れることができ、自由に動かせる手作業のほうが向いているんです。マシニングセンターはプログラムを組んで機械を動かしていくわけですが、5軸のハイスペックモデルでもアームの間接やジグの移動距離にはリミットがあります。それをどうやって手のように自由に動かすか考えてプログラムを組むのは、楽しくもありやりがいも感じている部分です。
今後の課題は、もっと連携力を高めるために積層の勉強をすること。それからカーボンと金属を同時に削れるようになりたいということです。現状では金属加工とカーボン加工は別の業者が担当するのを基本としています。加工時に熱を発生する金属では冷却のための油が必要になりますが、カーボンには素材の特性上、油をかけることができません。そのような問題をクリアするのはまだ難しい環境にありますが、それを一貫してやれるようになりたい。「ウチダに頼めば、すべてやってくれる」お客様にそう思ってもらえるようになるのが夢ですね。
